「Cursor が良いらしいのは聞くけど、VS Code の設定を全部捨てるのは怖い」。先週、知り合いのフロントエンドエンジニアから同じことを言われました。気持ちはわかります。私も最初の移行では2時間半くらい遠回りしたんです。
この記事では、VS Code から Cursor への移行を、設定の引き継ぎから乗り換えるべきかの判断軸まで、実際に2回やった手順で解説します。読み終わる頃には、今日の昼休みに移行を始められるはずです。
結論:VS Codeの設定はほぼ100%引き継げる、ただし「使い方」は変える必要がある
先に結論から言います。Cursor は VS Code のフォークなので、拡張機能・キーバインド・テーマ・settings.json はワンクリックで取り込めます。これは想像以上に拍子抜けするレベルでした。
ただし、移行で本当に難しいのは設定ではなく「AI を前提にした使い方への切り替え」です。VS Code + Copilot の癖で Cursor を使うと、月20ドル払って Tab補完しか使わない、みたいなもったいない状態になります。
この記事ではまず7ステップの移行手順を示し、そのあと「そもそも移行すべきか」の判断軸と、移行後にやるべき設定の最適化を扱います。
Cursor 移行の前に確認する3つの前提
移行作業に入る前に、3つだけ確認しておきます。手戻りを防ぐためです。
1つ目は料金プランです。 Cursor の Hobby プランは無料で、限定的な Agent リクエストと Tab補完が使えます。本格的に使うなら Pro($20/月)が現実的な選択肢で、ここには $20 分の月間クレジットプールが含まれます。Pro+ は $60/月で3倍の使用枠、Ultra は $200/月で20倍の使用枠とのこと。
料金体系は2025年6月にリクエスト課金からクレジット課金に変わり、混乱を生みました。今は Auto モードを使えば実質無制限で、フロンティアモデル(Claude Opus など)を手動指定したときだけクレジットを消費する形になっています。私の感覚だと、Pro でほとんどの個人開発者は足りるはずです。
2つ目はOSとマシンスペック。 Cursor は VS Code より少し重めです。古い MacBook Air(8GB RAM)で試したら、大きなプロジェクトを開いた瞬間にファンが回り始めました。16GB 以上のメモリを推奨します。
3つ目は7日間の Pro 無料トライアル。 新規登録すると Pro 機能が1週間試せます。本格移行の前に、ここで Composer や Agent を触っておくと、後の章で書く「使い方の切り替え」がスムーズです。
Cursor 移行の7ステップ:VS Codeの資産を全部持ち込む
ここからが本題です。私が実際にやった手順を順番に書きます。所要時間は10〜15分。
ステップ1:Cursor 公式サイトからダウンロード
cursor.com からインストーラーを落とします。Windows / macOS / Linux すべて対応。インストール自体は普通のアプリと同じで、5分もかかりません。
ステップ2:起動直後の「Import from VS Code」を実行
初回起動時、Cursor は VS Code の設定を検出して「インポートしますか?」と聞いてきます。ここで「Yes」を押すと、拡張機能・テーマ・キーバインド・settings.json・スニペットが一括で移行されます。
手動でやると面倒な作業ですが、ここは本当に1クリック。私は ESLint、Prettier、GitLens、Tailwind IntelliSense あたりを使っていますが、全部そのまま動きました。
ステップ3:同期サービスの設定確認
VS Code の Settings Sync を使っていた場合、Cursor 側でも同期を有効化します。設定は Cursor のアカウントに紐づくので、複数マシンで使うなら必須です。
ステップ4:.gitconfig と環境変数の引き継ぎ
ここは盲点。ターミナル統合の挙動が VS Code と微妙に違うので、シェルの初期化スクリプト(.zshrc など)が正しく読まれるか確認してください。私は最初、Node のバージョンマネージャ(volta)のパスが通っていなくて、5分くらい悩みました。
ステップ5:キーバインドの再マッピング(必要なら)
Cursor 独自のショートカットがいくつか追加されています。
Cmd/Ctrl + K:インライン編集(選択範囲を AI で書き換え)Cmd/Ctrl + L:Chat パネルを開くCmd/Ctrl + I:Composer(複数ファイル編集)
VS Code 時代のキーバインドと衝突することがあるので、Settings → Keyboard Shortcuts で確認します。
ステップ6:.cursorignore を作成
プロジェクトルートに .cursorignore を置くと、AI のコンテキストから特定ファイルを除外できます。.gitignore と同じ書式です。
node_modules/
dist/
*.log
.env
.env.local
これを忘れると、機密情報や巨大な生成ファイルまで AI に読まれてクレジットを無駄遣いします。移行直後に必ず設定してください。
ステップ7:VS Code の Copilot を無効化
Cursor に Copilot 拡張を入れたまま使うと、両方の補完がぶつかってチラつきます。Cursor 側に乗り換えるなら、Copilot のサブスクリプションも見直すタイミングです。
VS Code のまま残すか、Cursorに移行するかの判断基準
正直に書くと、全員に Cursor を勧めるつもりはありません。移行が向いている人と向いていない人がいます。
Cursor に移行した方がいいケース
- 週20時間以上コードを書く
- 複数ファイルにまたがるリファクタや実装が多い
- 「コードを書く時間」より「設計を考える時間」を増やしたい
- 副業や個人開発で速度を出したい
VS Code + Copilot のままで十分なケース
- JetBrains や Vim も併用している(Copilot は IDE 横断で動く)
- 企業のセキュリティ要件で IDE を勝手に変えられない
- 主にスクリプトや小さい修正で、自動補完だけで足りる
- マシンが非力で重い IDE が動かない
私の体感だと、副業でちょっと書く程度なら Copilot $10/月で十分です。一方、Astro サイトを丸ごと立ち上げたり、既存コードを大規模に書き換えるような作業では、Cursor の Composer が桁違いに速い。先週、Astro でブログテンプレを組んだとき、トップページ・記事ページ・RSS の3ファイルを1プロンプトで出してくれました。VS Code + Copilot だと、これは3往復はかかった作業です。
移行直後に絶対やるべき4つの設定
移行が終わったら、ここで手を止めず、4つだけ設定を追加してください。これをやらないと「ただの重い VS Code」になります。
1. Auto モードをデフォルトに固定
Cursor の Auto モードはタスクに応じて適切なモデルを自動選択し、有料プランでは無制限扱いです。クレジット消費を抑える最大のレバーがここ。手動で Claude Opus を選ぶのは「本当に難しい設計判断が必要なとき」だけにします。
2. .cursor/rules/ にプロジェクトルールを書く
.cursor/rules/ 配下に .mdc ファイルを置くと、AI の挙動をプロジェクトごとに制御できます。たとえば「TypeScript の strict モード前提」「React は関数コンポーネントのみ」など、毎回プロンプトに書くのが面倒なルールをここに集約します。
3. Composer/Agent のキーバインドを覚える
Cmd/Ctrl + I で開く Composer は、複数ファイルを同時編集できる中核機能です。VS Code 時代に「ファイルAを開いて、コピペして、ファイルBに貼って…」とやっていた作業が、自然言語1回で済みます。ここを使わないなら、Cursor に移行する意味は半分以下です。
4. プライバシーモードの確認
Settings でプライバシーモードを有効にすると、コードがモデル提供元の学習に使われない契約になります。仕事のコードを扱うなら必ずオンに。
Cursor 移行でよくある3つの落とし穴
最後に、私や周りが踏んだ地雷を3つ共有します。
落とし穴1:拡張機能の互換性
9割の VS Code 拡張は動きますが、Microsoft の独自ライセンスがかかった一部の拡張(Remote Development の一部など)は Cursor では使えません。リモート開発をメインにしている人は、Cursor の SSH 機能が代替になるか事前検証を。
落とし穴2:クレジット枯渇
移行直後の興奮で Composer を回しまくると、Pro の $20 クレジットが2週間で消えます。私も初月にやらかしました。Auto モード固定と .cursorignore の設定で、消費はだいたい3割減らせます。
落とし穴3:VS Code への戻し方を確保しておく
万一 Cursor が合わなかったときのために、VS Code はアンインストールしないでおきます。設定は Settings Sync で残っているので、Cursor 側で何をいじっても VS Code 側は無傷です。
まとめ:今日からやる3つのアクション
ここまで読んだら、移行作業は実はそれほど大ごとじゃないと感じたはずです。最後に、今日中に着手できる3アクションだけ置いておきます。
- cursor.com から Cursor をダウンロードして、7日間 Pro 無料トライアルを開始する(15分)
- 起動時の「Import from VS Code」を実行し、
.cursorignoreをプロジェクトに追加する(10分) - 手元の小さなタスクで
Cmd/Ctrl + Iの Composer を試し、複数ファイル編集の感覚を掴む(30分)
この3つをやれば、移行すべきかの判断材料が揃います。合わなければ VS Code に戻ればいい。スイッチングコストが低いのが、この時代の IDE 選びの面白いところです。
参考リンク
- Cursor 公式ピングページ — Hobby/Pro/Pro+/Ultra/Teams の最新プラン構成
- Flexprice: The complete guide to Cursor pricing in 2026 — 2025年6月のクレジット課金移行の経緯
- AI Productivity: Cursor Pricing 2026 — プラン選択の判断基準
- Finout: What Happened to Cursor Pricing — Auto モードでのクレジット節約の根拠