Slackに常駐する社内AI、というテーマが2026年後半になって急に現実味を帯びてきました。理由はシンプルで、Claude Tagという「@メンションで呼び出せるチーム用エージェント」が本格的に使われ始めたからです。私はここ1ヶ月ほど、知り合いの中小企業2社にこの導入を手伝う形で副業として関わってみました。手応えは、正直かなり良いです。この記事では、Claude Tag 副業をどう設計すれば継続収益になるのかを、実際の導入手順と単価感まで含めて共有します。
そもそもClaude Tagで何が売れるのか
公式のタイムラインによると、Claude TagはSlackで動く常駐型のチームエージェントで、チャンネル・ツール・データ・コードベースに接続してから、@Claudeでタスクを委任できる作りになっています。要はSlack上の「もう1人の同僚」を、企業ごとに設定してあげる仕事です。
ここが重要なのですが、売り物はモデルそのものではありません。Slackという既に定着している場所に、AIを自然に居座らせる設計と運用が売り物になります。ChatGPTを別タブで開くのが面倒で結局使われない、というのは中小企業でよく見る光景で、Claude Tagはこの「開かない問題」を構造的に解消します。
私が今回関わった2社では、導入前と導入後で社内での質問件数がざっくり倍になりました。使う場所が変わっただけで、これだけ変わります。
収益モデルは3本に分岐する
Claude Tag 副業として売れる形は、大きく3パターンあります。全部やる必要はなく、どこで稼ぐかを最初に決めておくと迷わないです。
初期設定パック(スポット納品)
1社あたり8万〜18万円ぐらいの一括見積もりで、以下をまとめて納品する形です。
- Slackワークスペースへの導入とチャンネル別の権限設計
- 接続するツール(Google Drive、Notion、GitHub、社内DB等)の選定と接続
- 業務別のプロンプトテンプレを3〜5個(議事録要約、営業メール下書き、契約書レビュー等)
- 管理者向けの30分レクチャー
スポット案件なので初動のキャッシュは早いですが、単発で終わるとその後が続かないのが弱点。ここは入口として使い、後述の月額に必ず繋げます。
月額運用サポート(継続収益)
私が本命だと思っているのがこれです。月2.5万〜6万円あたりで、以下を継続的に見る契約にします。
- 月1回のプロンプト棚卸しとリライト
- 新しく発生した業務ドメインへの追加設定
- 誤答・ハルシネーションの検出と修正提案
- モデルアップデート(Sonnet 5やFable 5.1などの新モデル追随)への対応
2026年に入ってからのモデル更新頻度を見ていると、この「アップデート追随」の需要は思っていた以上に強いです。公式サイトによるとSonnet 4.6は2月17日、Sonnet 5が6月30日、Fable 5.1が9月1日と、半年で3回もフラッグシップが動いています。中小企業の情シスにこれを追わせるのは酷で、月額の理由になります。
プロンプト資産の内製化研修
3ヶ月〜6ヶ月に1回、15万〜30万円のスポットで、社内メンバーが自分でプロンプトを書けるようにする研修パッケージです。月額契約の解約防止としても機能します。「自分たちで書けるようになる」ことを目標にした瞬間、逆に「面倒だから任せたい」という声が出て継続に戻る、という現象を私も経験しました。
導入の実装例:最小構成のプロンプトテンプレ
何もない状態でSlackにAIを放り込むと、雑に使われて「なんか微妙」で終わります。最初に業務別テンプレを仕込んでおくのが肝です。私が今回使った議事録要約用のテンプレを共有します。
# 議事録要約テンプレ(#meeting-notes チャンネル用)
あなたは営業チームの議事録アシスタントです。
以下の議事録を、次のフォーマットで要約してください。
## 決定事項(最大5個)
- [誰が][いつまでに][何をする]の形式で書く
## 保留・持ち帰り
- 判断が保留された論点を箇条書き
## 次回アクション
- 次のMTGまでにやるべきこと
## 気になる兆候
- 顧客の温度感、離反リスク、追加提案の余地を1〜3個
【入力議事録】
{{message}}
これを@Claude にメンションしたときのデフォルト振る舞いとして仕込んでおきます。ポイントは最後の「気になる兆候」で、単なる要約だと使われなくなるので、人間が見落としがちな示唆を1つ足す設計にするだけで定着率が変わります。ここはテンプレを納品するときに必ず入れています。
単価を上げるための「接続の設計」
Claude Tag案件で単価が伸びるかどうかは、正直プロンプトの巧拙より何に接続するかで決まります。ここが提案の腕の見せどころです。
私が今回提案してハマったのは、Google Drive内の営業資料と、HubSpotの顧客データを両方接続する構成でした。「この顧客向けに、過去の類似案件で使った提案書のトーンで、初回訪問後のお礼メールを書いて」というリクエストが1発で通るようになり、営業担当が毎朝Claude Tagを叩く習慣になりました。
単一ツール接続だと月2万円が上限ですが、複数ツールを横断させると月5万円でも安いと言われます。技術的な難易度はほぼ変わらないのに、体感価値だけが跳ね上がる領域なので、提案時にはここを厚めに見せるのが効きます。
契約時に必ず握っておく3つの論点
実際に契約書を交わしてみて、後から揉めそうだと感じた論点が3つありました。
1つ目はデータの取り扱い範囲です。Claude TagがアクセスできるチャンネルとDriveフォルダを明示的にリストアップして、契約書の別紙にする形にしました。「全部見えます」だと情シスがGOを出せません。逆にホワイトリスト化しておくと導入がスムーズです。
2つ目は料金の内訳。Anthropicのプラン料金(Claudeのサブスクリプション費用)は顧客持ち、あなたの作業費用は別、と分けておかないと、モデル利用料の値上がりリスクを副業側が被ることになります。公式ページでもSonnet系は$3/$15 per million tokensという単価が示されていて、使用量が読みにくいのが実情です。
3つ目はハルシネーション時の責任範囲。「AIの回答は人間が確認して使う前提」を契約書に一文入れておくだけで、後々の議論が全然違います。Anthropic自身、Sonnet 4.5でショートカット挙動が65%減ったと発表しているものの、ゼロにはならないという認識で書いておくのが誠実です。
継続化を左右するのは「使われている実感」の可視化
月額契約は、成果が見えなくなった瞬間に切られます。Claude Tagの場合、ここが意外と難しい。Slackの中で使われているので、経営者の目に触れないんですよね。
私は月1回、以下の内容を1枚のPDFにして送るようにしています。
@Claudeのメンション回数(部署別)- よく使われたテンプレのランキング
- 今月追加したプロンプトと、その業務改善見込み
- 来月提案する新しい接続先
これを送り始めてから、解約の話は出なくなりました。数字にすると弱いと感じるかもしれませんが、「見えないものを見えるようにする」だけで契約は伸びます。逆にこれを送っていなかった1社目は、3ヶ月目に「本当に使ってるかわからない」という理由で更新交渉が難航しました。地味ですが、月額を守る一番効くレバーです。
Claude Tag 副業を始める最初の2週間の動き
最後に、これから始めるあなたが最初の2週間で何をやるかを具体的に置いておきます。
1週目は自分のSlackワークスペースにClaude Tagを入れて、自分の副業タスク管理チャンネルで実際に1週間使い倒す。ここで手に馴染ませないと提案の言葉が薄くなります。
2週目は、業界特化のテンプレを3つ書く。おすすめは「不動産営業」「歯科クリニックの予約対応」「Web制作会社の見積作成」あたりで、既存クライアントがいるならその業界。ないなら知り合いに「無料で1ヶ月試させて」と持ちかけて実データで練る、が最速です。
この2週間で作った実物を持って営業に行くと、話がまったく別の速度で進みます。私も最初の1社は、実データで作ったテンプレを画面共有した瞬間に契約が決まりました。ツールの説明ではなく、その会社のSlackで動いている絵を見せられるかが分岐点です。
Slack常駐というポジションを個人で押さえる
Claude Tag 副業の面白いところは、コーディング案件と違って「エンジニアじゃない層の業務プロセス」に食い込めることです。Sonnet 5やFable 5.1のように新モデルが半年おきに出るペースだと、企業側は追いつくのを外部に任せたくなります。個人がSlackの中に住み着けるポジションを取れる、まだ空きのある領域だと思います。今週末、まず自分のSlackにClaude Tagを入れて触ってみてください。そこからしか始まりません。
参考リンク
- Anthropic - Claude Sonnet — Sonnet 4.6/5の公開日と料金
- Anthropic - Introducing Claude Sonnet 4.6 — 1Mトークンコンテキストと$3/$15の料金
- Claude Timeline: Model Release Dates and Version History — Claude Tagの仕組みとFable 5.1の位置付け